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大分から全国、世界に通じる価値を生み出す企業をつくる。若き社長の挑戦。

株式会社ザイナス
代表取締役社長 江藤 彰悟

更新日:2026年5月13日

大分県大分市生まれ。2015年神戸大学卒業後、イノテック株式会社へ入社。半導体設計用CAD(通称EDA)メーカーである米Cadence社の販売代理店として、国内半導体メーカーを担当する営業職に従事。2017年より、同社子会社であるガイオテクノロジー株式会社へ出向し、人事・法務業務を担当。採用業務をはじめ、福利厚生制度の拡充、契約書の確認、輸出管理などに携わる。2019年、株式会社ザイナスへ入社。同年に人事部の立ち上げを行い、2020年には教育事業部の立ち上げを主導。2021年2月取締役副社長に就任。2025年5月代表取締役社長に就任、現在に至る。
※所属や役職、記事の内容は取材時点のものです。

地域課題の解決と事業成長を両立させる地方発のIT企業。

ザイナスは2000年に創業したITソリューション企業です。大分本社のほかに東京に本社・開発拠点を構え、地方発ながら全国規模でサービス提供できる体制を整えています。

主な事業は「受託開発」と「SES」で、これからは「パッケージ開発」を強化していきます。「労働時間の切り売りではなく付加価値で勝負する企業」へシフトするためで、学生寮や社員寮向けのクラウド管理システム「Smart Dorm(スマートドーム)」など、すでにリリースしているプロダクトもあります。

また、地方発のIT企業ならではの強みを活かし、地域課題の解決と事業成長を両立させる方針です。防災分野では、大分大学減災・復興デザイン教育研究センターなどとの共同研究から生まれた防災情報プラットフォーム「EDiSON(エジソン)」で得た知見を活かし、本格的な防災ソリューション「PREIN」を商品化するなど、受託開発で培った技術を横展開したプロダクト開発も推進しています。

2024年にはSAPジャパンより国内初のSAP AppHaus Networkパートナーに認定され、大分に「Zynas AppHaus Oita」を開設しました。SAPの先端クラウド基盤(SAP BTP)を活用した共創拠点として位置付けられ、国内外の企業・技術と接点を持つ窓口となっています。

「人に依存するモデル」から「プロダクト主体のモデル」へ。

中期経営計画には「2030年に売上30億円、社員数230名」という目標を掲げました。その先に見ているのは大分ナンバーワンです。

これはただの数字目標ではなく、「大分からでも全国・世界に通じる価値を生み出せる企業をつくる」という決意です。地域密着型でありながら、先端技術に挑戦する。その両立を目指しています。

そのための取り組みが「人月商売からの脱却」です。SESや受託開発は、地方のIT企業にとって非常に現実的で、売上を安定させてくれるモデルでした。ただ、企業規模を一段上げようとすると、人を増やす以外に手段がありません。

地方は採用難易度も高く、社員の給与を上げ続けるのにも限界があります。事業構造を「人に依存するモデル」から「プロダクト主体のモデル」に変えないかぎり、スピード感をもって事業をスケールさせることは到底無理だと強く感じたのです。

もう一つ、避けて通れないのがAIです。AIの進化スピードは想定を完全に超えてきました。「プログラマーの仕事が減る」という話は以前からありましたが、現場の感覚としては「もう始まっている」というレベルです。

これからエンジニアに求められる役割は、「手を動かす人」から「AIを使いこなし、設計し、判断する人」へと確実に変わっていきます。会社の利益構造も、そこに合わせて変えないといけません。

双日テックイノベーショングループの一員として第二創業期がスタート。

2025年11月に双日テックイノベーショングループの一員となり、企業規模の拡大と事業進化を目指す新しいフェーズに入りました。大分にいながら全国規模、さらにはグローバルレベルでの展開も視野に入っています。

ザイナスが、より付加価値の高いサービスを提供していくためには、経営基盤の強化や事業領域の拡張が重要な課題となっていました。このような環境変化を踏まえ、単独での成長に加え、より大きなグループの中で成長する選択肢を検討するようになりました。

双日テックイノベーションは、技術力や顧客基盤、事業領域の広さに加え、人材やパートナーを大切にする企業文化を持っています。ザイナスの事業や強みを深く理解し、「ザイナスの独自性を尊重しながら一緒に成長していく」という姿勢を明確に示してくれたことが、最も大きな決め手となりました。

双日テックイノベーションが展開している事業ポートフォリオは、まさに当社が目指すべき姿であり、当社単独では到達に時間を要する領域に、現実的かつスピーディーに挑戦できると感じています。

同社はすでに明確な強みを持ち、AIへの投資も進んでいる。その環境に入ることで、ザイナス単独では間に合わなかったスピードで、次の時代に適応できると判断しました。これは守りではなく、生き残るための前向きな戦略です。

双日テックイノベーションの幅広い顧客基盤、先端技術、事業ネットワークと当社の強みを掛け合わせることで、これまで単独では難しかった大型案件や新領域への挑戦が可能になります。また、グループ内連携によるソリューションの高度化、提供領域の拡大を通じ、顧客に対する提供価値を一段と高めていけると考えています。

大分の雇用創出と地域の発展に貢献し続ける。

当社は創業以来「より多くの人を雇用し、その人の生活を守ることで社会に貢献する」という信念を掲げており、地方に雇用を生み出すこと自体を社会貢献と位置付けています。

実際、地方都市・大分にいながら東京など首都圏のシステム開発案件を積極的に受注し、その収益で地元に技術者雇用の場を作り出すというサイクルを確立。

受託案件の約半数は東京からで、「地方にいながら全国レベルの仕事ができる環境」を整えることで、地元出身の優秀な若者が都会に流出せず地元で活躍できる場を提供しています。

さらに地域社会への直接的なフィードバックとして、地元メディアやコミュニティ活動への協力も行っています。さまざまな地域との交流を通じてIT産業の魅力発信・裾野拡大にも努めています。

私自身もNPO法人Oita Social Innovation Laboratoryの監事や大分県情報サービス産業協会の理事を務めるなど、地域の産業振興・社会課題解決に向けた活動に参画しています。

この先も地域とともに、社会に還元できる企業として『もっといいシステムで、もっといい明日を』という企業理念実現に向け、大分にはこだわり続けたいと考えています。

社員がイキイキと働ける環境を追求する「社員ファースト」経営。

私は「社員ファースト」の経営を掲げています。「ザイナスの経営資源は100%『人』であり、人を大切にすること、社員が生き生きと働ける環境を追求することが経営者として最も大切な使命」と考えているからです。

これまで社内カルチャー改革や人材育成にも積極的に取り組み、社員が働きやすく成長しやすい環境づくりに力を注いできました。

働き方改革の面では、2020年に給与・評価制度を大幅に見直しました。これに伴い就業規則も変更し、コアタイムなしの完全フレックスタイム制を導入しました。プロジェクト管理システム上で各自のタスクと進捗が見える化されているため、チーム内で勤務時間が異なっても生産性を維持できる仕組みです。

この柔軟な働き方により、社員は自律的に時間管理しながら効率良く働けるようになり、生産性向上とワークライフバランスの両立を目指しています。給与制度の刷新により「結果を出した社員はきちんと評価される」可能性が開かれたことで、社員のモチベーションにも良い刺激を与えているようです。

変化を楽しみ、社員の成長とともに、会社も成長する。

ザイナスは常に変化し続ける会社です。新プロジェクトの立ち上げ、親会社との連携による新たな取り組みなど、環境がどんどん変わっていきます。ですから、当社で活躍できるのは「変化を楽しめる人」です。「変わるから面白い」と思える人には最高の職場だと思います。

最終的には「社員が誇れる会社」をつくりたいと思っています。AIの進化で世の中の仕事がどんどん変わっていくなかで、社員が「この会社で働いて良かった」と思えることが一番大事だと考えています。

だからこそ、給与や働き方、制度の整備はもちろん、社員の声を反映させる企業文化をつくってきましたし、これからも続けていきます。そして、「地方からでも全国に通用するプロダクトをつくる」これが今のビジョンです。

大分から、価値のあるソリューションを生み出し、それを国内外に展開していく。そのプロセスで、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして成長できる組織を築いていく。

言うなれば、働く人にとっても、社会にとっても「意味のある会社」にしていきたい。それが私の想いです。

編集後記

チーフコンサルタント
桝永 健夫

インタビューを終えて率直に感じたのは、江藤社長の「冷静さ」です。双日テックイノベーショングループへの参画という大きな決断は感情論ではなく、AIによる業界構造の激変、SESモデルからの転換、そして雇用を守って給与を上げていくためには何が合理的かという問いへの論理的な答えとして導き出されたものでした。

江藤社長の経営の軸は常に「人」にあります。「人をないがしろにしたら事業が成り立たない」という言葉は建前ではなく、ビジネスモデルと人への誠実さが一致した言葉として響きました。

33歳で戦略的資本提携を経験し、今またPMI(組織統合プロセス)という新たな挑戦の渦中にいる江藤社長。大分から世界へ。その挑戦の行方を引き続き追いかけていきます。

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