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麺を軸に躍進する食品メーカー。九州の食文化を牽引する立役者。

株式会社ヤマナミ麺芸社
代表取締役 吉岩 拓弥

更新日:2024年6月05日

九州産業大学 国際経営学部卒業後の2003年、父が経営するゴールドプランニング株式会社に入社。2004年、父の急逝に伴い代表取締役に就任。2018年、株式会社ヤマナミ麺芸社に社名を変更。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

「麺」を軸として多角的に事業を展開。大分・九州をリードする食品メーカーへと成長。

私たちヤマナミ麺芸社は、「ニッポンの食文化を未来へつなぐ」という理念のもと、グループで培ったノウハウを活かし、麺産業に関わる食材の生産、製造、販売をつなげ、多角的にお客さま、業界、地域に貢献できる会社を創っていきます。

主な事業は三つ。飲食店経営事業は、1994年に別府市で「ふくやラーメン」を創業して以来、「麺堂香」「太一商店」「味噌乃家」などラーメン店のマルチブランドを展開。大分を中心に熊本・福岡・鹿児島に7業態30店舗を展開しています。

食品製造・加工・卸事業では、自社製麺所で磨き上げた「企画開発力」と「製造加工技術」により、確立した独自の麺づくりのノウハウをベースに麺・餃子などオリジナル商品の開発・製造・卸を手がけています。また、同業他社からの依頼にも応え、小ロットの生産や細かい要望にも対応しています。

さらに、ここ数年は九州各地の特産物を使った半生麺・乾麺といった観光ギフト商品も企画・開発し、空港や主要駅などで販売。大分の美味しい特産品をPRするとともに当社商品の販路も拡大しています。

このほか、地域貢献の手段として事業承継やM&Aを積極的に活用し、9件の実績があります。別府の地獄蒸しでつくる「鉄輪豚まん本舗」、福岡の老舗ラーメン店「長浜将軍」など、後継者不足や廃業を余儀なくされたお店の味(レシピ)と、商品やお客さまへの想いをしっかり引き継ぐ形で承継しています。

また、第三セクターで農産物の加工業を営んでいた株式会社トーヨーでは、新規事業として冷凍ピザ事業を始めて事業を再生させました。これらグループ企業の強みを活かしたオンリーワンの食品メーカーを目指しています。

一軒のラーメン店から食品メーカーへ。共存共栄、九州に貢献したいという想い。

一軒のラーメン店からスタートした当社。父親からこの会社を継いだ時は、チェーン展開も考えました。しかし、私自身「人と同じことをするのが好きじゃない」性分なこともあり、「大分でもいろんなラーメンが楽しめるほうが良いのでは」と考え、細麺・太麺・縮れ麺、豚骨・味噌など、特徴を打ち出した店舗をラーメンだけで4業態開発しました。

順調に店舗が増えるのは嬉しいことでしたが、大分から熊本・福岡へと拡がるにつれ、ただ拡大していくことに行き詰まりも感じていました。

麺は自社のセントラルキッチン(製麺所)で作っていましたが、それを知った地元のラーメン店から「色々な麺が作れるのなら、うちの麺も作ってほしい」と声がかかりはじめます。自社で確立した麺づくりのノウハウを活かし、各店舗の困りごとを解決し、喜ばれ、取引先のお店が繁盛していく・・・素直に嬉しさとやりがいを感じました。

「競合店に商材を供給するのはおかしいのでは?」と思われるかもしれませんが、共に繁栄し、九州という地に貢献していきたいという想いの方が強かったですね。この頃から、ラーメンチェーンの経営から、麺を軸にした「食品メーカー」の方向に大きく舵を切りました。

「麺を軸とした食品メーカー」とは、単なる製麺所ではありません。例えば、事業承継した「長浜将軍」では、長きにわたり地域のお客さまに愛されてきた味を守りたいとレシピを譲り受け、スープも麺も再現しています。

名物の辛子高菜も、店舗以外でも提供したいと考え、製造レシピはそのままに、当社のグループ会社のである漬物メーカー「樽味屋」で商品化。販路を拡大し、現在、福岡などの量販店30店舗で販売しています。

また、高菜は九州ラーメンにはなくてはならない存在ですが、後継者不足などで年々生産者・生産量が減っています。このままだと九州の食文化を未来に継承できなくなってしまうと感じ、樽味屋で生産者を増やす取り組みを開始。高菜の栽培は米の裏作にも適しているため、米の生産者を中心に、栽培方法の伝授・買取の契約も行うなど、生産者支援にもつなげています。

麺を起点に、取り扱い商材を拡げていく。これを「麺を軸とした食品メーカー」と表現しています。

一つひとつの出来事は、計画的というより「行き当たりばったり」な部分も多いですが、試行錯誤しながら取り組んできたことで、次々と課題が生まれました。しかし、そこには出会いがあり、喜びがあります。九州の食文化を守り、九州に貢献していくことをブレずに追求することで、当社は事業の幅を拡げて成長を続けています。

時には壁にぶつかり、もちろん失敗もありますが、誠実に、果敢に挑戦を続けています。食品メーカーとして想いをつなぎ、人をつなぎ、最後は「行き当たりばっちり」で成果を残していきたいと考えています。

日本を代表するコンテンツとして「九州の食」を世界に仕掛ける。

これからの日本のコンテンツは、「食」と「観光」だと思っています。その中でも日本のラーメンは世界的に知名度も高く、人気がある食べ物です。

麺産業を通して九州の美味しいものを愛し、守り、展開してきた当社は、これから本格的に「九州の食」を世界に仕掛けていきます。

ラーメンや高菜などの商品を販売するのか、培ったノウハウを活用した商品を現地で生産するのかなど、内容はまだ模索中ですが、世界のバイヤーとコンタクトを取る中で、オファーも続々と届いており、手応えを感じています。

いずれにせよ私たちの取り組みにより、「九州の美味しいものを世界の人々に知ってもらう」「九州に足を運んでもらう」、そのきっかけになればと思っています。私たちの事業が拡大することで、九州の食に関わるすべての方々の役に立てたら嬉しいですね。

どこの国の、どんな人たちとの出会いが待っているか。そこは出たとこ勝負です(笑)。海外進出も「行き当たり」になると思いますが、すべてを楽しみながら全力でチャレンジし、最後は「バッチリ」になるはずだと確信しています。

つよく、やさしく、おもしろく。人の成長なくして、会社の成長はない。

「人の成長なくして、会社の成長はない」と考える当社では、10年以上前から、社員一人ひとりが仕事を楽しみ、やりがいを感じながら夢や目標を実現し、豊かな人生を送っていけるよう、環境や仕組みづくりに力を入れてきました。

社内のDX化を進めるとともに、キャリアパスや評価基準を明確化。例えば、店舗業務が一通りできるようになる入社3年目以降、店舗運営・数字の管理・人材マネジメントまで手がけるようなると年収600万円以上。5年目以降、ビジネスモデルを立ち上げるポジションになったら年収800万円以上など、自分の現在地が分かり、目指すべき次のステップを明確にしています。

社員教育にも力を入れています。ゼロからオリジナルのラーメン(商品)を企画し、実際に商品をつくり、店舗経営のシミュレーションまでを行うラーメン学校をはじめ、階層別研修など外部研修にも積極的に参加させており、社員一人あたりの研修費用は年間25万円ほどです。

この他にも、月2回、社長講和を行っています。私が講師となって50分間、「笑い」を交えながら面白おかしく「ヤマナミとは」を伝えています。社内のエピソードや他社の事例なども紹介しながら、「自社の経営やサービスでは、何を大切にしているのか?」価値観を擦り合わせるためでもあります。

これまで15年、毎月欠かすことなく続けていて、自由参加ですが、毎月70人ほどの参加があり、ネタを考える励みになります(笑)。

また、手当や制度など福利厚生面の充実も図っています。「世の中がお休みの時が私たちの稼ぎ時」という仕事柄、社員とその家族に少しでも恩返しできたらと、バカンス休暇(5~10日の連続休暇とお小遣い1万円支給)や親孝行手当(親や家族との食事代など、上限3万円支給)などユニークなものがあります。

当社のモットーは、「つよく、やさしく、おもしろく。」。つよさとは、どんな状況・変化にも柔軟に対応し、打開できる「適応力」。やさしさとは、いつでもお客さまと仲間を気遣う「包容力」。おもしろさとは、技能を生かし付加価値を産み出す「創造力」。仕事を通して技術やノウハウを磨きながら、人間力も磨いています。

プロ集団であれ。10人の社長を育てていきたい。

一杯のラーメン店からスタートした当社は、麺専業の食品メーカーと業容を拡げ「九州の食」を担い、発展を続けています。そこに必要となるのは「なにかに長けた人財」です。

店舗マネジメントの経験がある方、食品業界で商品企画の実績のある方、製造機械のカスタムに強い人、生産者の開拓や生産者育成の経験者、食品営業に強い人、商社など海外進出ノウハウを持っている人、お土産・ギフトなどの販路拡大に強い人・・・さまざまなプロフェッショナルが揃うプロ集団を目指します。

「九州の食文化を広げたい」という想いに共感し、「これだけは負けない」「この分野に自信がある」、そして新たなチャレンジをしてくれる方なら大歓迎です。

そして、当社に入社してくれたからには、ヤマナミだけで通用するのではなく、外に出ても引っ張りだこな人材になってもらいたい。仕事、研修などの勉強の場、新しいことへのチャレンジ、人との出会い。チャンスは全員に平等にありますから、ヤマナミを利用して多様な経験を積み、業界の中でレアなキラキラした人材になってほしいと考えています。

当社には、飲食店や食品製造の既存事業、新業態、新規事業、地域の食文化・事業の承継やM&A、海外進出など、活躍の場・ポジションは無限にあり、将来は分社化もしていきます。そこでゆくゆくは社長になってほしい。「九州の食文化を広げていく仲間」を増やしていきたいですね。

編集後記

チーフコンサルタント
桝永 健夫

吉岩社長のお話すべてから、「九州の食文化を守り、繁栄させていきたい」という熱い想いがあふれていました。

「『行き当たりばっちり』で!」と笑顔で語るその裏には、葛藤や苦労もあると思いますが、食品メーカーとして想いをつなぎ、人をつなぎ、共存共栄しながら既成概念にとらわれないチャレンジを続けるからこそ、会社の成長があると実感しました。

また、研修や勉強会、制度や手当といった福利厚生も驚くほど充実。社員一人ひとりの成長や幸せをなにより大切にしており、キャリアステップも明確。

責任あるポジションにつく、事業を担ってグループ会社の社長になる、独立する、といった将来の道も多彩。のびのびとチャレンジでき、納得・満足しながら未来を描ける会社だと感じました。

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